代表質問で登壇

2024年09月20日

本日は、10時から本会議が開かれました。

代表質問が行なわれ、私は午前中2番手での出番となり、10時半過ぎたところでの登壇となりました。

手前みそではありますが、しっかりと区長に高齢単身者の終活支援や学童クラブのあり方などについて、質せたものと思います。

質問の全文は以下に掲載します。

代表質問・一般質問後は、昨日に委員会で審査した先議案件の採決です。

続いて、今定例会にかけられた議案の説明と各委員会への付託がなされ、本会議は散会となりました。

本会議後は、決算特別委員会が設置されました。

今回の決算委員会は、会派を代表して私が委員で入ります。

10月4日まで総括、款項目別、締めくくり質問と、約2週間に渡って一問一答で丁々発止のやりとりがなされます。

予算執行の状況を細かく調べ、しっかりとチェックしていきたいと思います。

ちなみに、決算委員会でのやり取りはインターネット中継もされていますので、傍聴が難しい方はこちらでもご覧いただけます。

<新宿区議会インターネット中継>
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/index08_08.html 

 

<身寄りのない老後について>

2020年の国勢調査によると新宿区の 65 歳以上単身者数は21500人で、高齢単身者の 65 歳以上人口に占める割合(高齢単身者割合)は 34.0%となり、高齢者の 3 人に 1 人が一人暮らしということになります。これは東京 23 区の中で 2番目に高い状況となっています。

今後は、高齢化により夫婦の老後が長くなったことで、人生を再設計するケースなど熟年離婚が増えていることや未婚率の上昇から、さらに単身化が進んでいくものと予想されています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、「今後は少子化の影響から子どももきょうだいもおらず、近親者が全くいない独居高齢者が急増する。」と言及しており、この問題に詳しい日本福祉大の藤森教授からは「誰もが高齢期に一人暮らしになる可能性があり、どこまで公的な制度で支えるのか、持続可能な仕組みにするためにはどうすればよいか、議論が重要になる。」と問題提起がなされています。

こうした状況から、「葬儀をしてくれる人がいない」、「入院時に頼れる親族がいない」、「認知症になったときのお金の管理が心配」など、身寄りがいない高齢者の方々から困りごとや不安の声が多く挙がっています。

頼れる身寄りのいない高齢者が直面するこうした課題を解決しようと政府が新制度の検討を始めました。そこで厚生労働省は、公的支援の仕組みが必要と二つのモデル事業を展開します。一つは、コーディネーターを配置し、公的支援や民間サービスなどを組み合わせた支援プランを作成し、契約を支援する方法。もう一つは、社会福祉協議会などを通じ、支援をパッケージで実施する方法となっています。
お隣の豊島区ではこうした取り組みを、国に先立ち進めています。豊島区では、社会福祉協議会を通じ、弁護士や司法書士といった専門職につなぎ、見守りや判断能力が低下した場合に備える「任意後見」や葬儀などを頼む「死後事務委任」といった契約締結を支援してきました。今年度からは、定期的な見守りや入退院時の手続き、緊急連絡先としての受託、葬儀・納骨など一体的なサービスの提供も始めました。

「これにより登録者の意思を的確に伝達し、希望に沿った終末期の医療や円滑な死後事務等の実現につなげ、本人の尊厳を守るとともに、今後の人生をより豊かで安心できるものにします」と豊島区のホームページではうたわれています。

また、こうした事業の先駆けとなった横須賀市では、高齢者の死後の葬儀・納骨方法などの終活計画を生前に作成する「エンディングプラン・サポート事業」を実施しています。横須賀市の「エンディングプラン・サポート事業」は、希望する高齢者から死後の葬儀、納骨の希望を事前に市がヒアリング。その後、希望者は市内の協力葬儀社との間で、生前契約(死後事務委任契約)を結び、死後の葬儀などを任せるというもので、希望者は葬儀社に対して、葬儀・納骨代の20万6000円を契約時に支払います。ちなみに、この額は生活保護受給者の火葬費用と同じ水準に設定しているとのこと。このサポート事業を受けられるのは、原則として65歳以上で、身寄りがなく、月収およそ16万円以下、預貯金が200万円以下で、土地家屋を所有していない高齢者となっており、さらに希望すれば、「リビングウィル」についても計画に盛り込むことができます。「リビングウィル」とは、延命治療や緩和治療に対する本人の意思・考えのことで、生前にあらかじめ治療方針を決めておけば、緊急時の治療に役立ち、トラブルの回避に効果があると言われています。

こうした先行自治体での取り組みは、自治体が住民の死について、今以上に一歩踏み出して関わりを持ち、問題解決に乗り出したもので、孤独死や家族がいても様々な事情で遺体を引き取らないケースなども増えている昨今、高齢単身者の多い新宿区においても終活支援サポートは喫緊の課題と考えます。
そこで伺います。区は高齢単身者の身寄りなき老後に対して、これまでどのように対応し、今後はどのような取り組みをお考えか、お聞かせください。

また、人が最期まで尊厳を持って生きることを実現するため、先行自治体が行なっているような取り組みは効果的と考えますが、新宿区でも実施を検討されたらいかがでしょうか。併せてご見解を伺います。

 

<学童保育や子どもたちの放課後の居場所づくりについて>

保護者が労働等により昼間家庭にいない小学生に対し、放課後の遊びの支援や生活指導を保護者にかわって児童指導員が行う学童クラブ事業において、共働き家庭の増加もあり、各所で利用登録する児童が増えています。

子ども家庭庁の調査によると全国の登録児童数は年々増加しており、今年5月時点で151万5205人に達し、待機児童は過去最多の1万8462人に上るとのこと。国は、こうした状況を問題視し、新たな対策として2026年度をめどに152万人分の受け皿を確保する方針を打ち出しました。また、登録児童数が国の基準の40人を超えるクラスが全体の4割程度となっていることなども課題として挙げられ、全国学童保育連絡協議会からは「子どもたちも騒々しい環境で落ちつけず、職員も子どもの声や気持ちをくみ取ることが難しくなり、保育内容、ひいては生活の質に直結する。」と大規模化の弊害を指摘しています。

そして、東京都も今年の6月から学童保育の運営実態などを把握するため、子どもや保護者、学童保育の運営者や区市町村へアンケートを実施しており、こうした調査を踏まえて、都独自の新たな運営基準を設けて認証を行なう方針です。この都が考えている「認証学童クラブ制度」は、来年度の制度導入を目指し、有識者による専門委員会が開かれ、議論されている主な課題としては「子どもにとって適切な支援環境とはどのようなものか」、「保護者の多様な働き方やニーズにどう対応するか」、「職員の増配置や処遇改善、人材確保をどう進めるか」、「民間サービスの提供体制を整備することをどのように考えるか」などとなっており、この秋には制度案がまとめられるとのことです。

これまで新宿区でも、定員を大きく超える登録者のいる学童クラブもあり、そうした状況にストレスを感じる児童や不安を訴える保護者の声をよく伺いました。国や都でも学童保育の環境改善が喫緊の課題と取り上げられる中、区もこうした事への対応として、学童クラブにおける定員の拡充をはじめとし、学校長期休業期間中のお弁当配送サービスによる保護者の負担軽減などに取り組むなど、たゆまぬご努力をされていることには本当に頭の下がる思いです。

ただ、いまだに定員に対する登録割合が100%を超えているところが幾つかあり、定員拡充の目途の立っていないところもあると伺っています。また、こうした定員を超えたところのみならず、そうでないところからも「狭い空間に多くの子どもが詰め込まれている。」と保護者からの心配する声も少なくありません。

そこでいくつか伺っていきます。まず、学童クラブを運営するにあたってのスペース確保についてです。学校からの距離や安全面の問題、賃料などを考えると適切な場所を見つけるのも大変です。引き続き、学校や教育委員会へ協力をお願いしていくことは当然でしょうが、更なる努力を重ねなければ課題解決には及びません。

これまで区の保育行政においてでは、保育施設の待機児童の解消のため、多くのリソースが投入され、待機児童ゼロが続くなど十分な効果が上げられてきました。ただ、そうした施設の幾つかでは、その役割を終え、定員を減らしたり、閉所する施設も出てきています。そうした施設の中では、学童クラブへの転用を図るなど、社会状況に合わせた業態変化が起こっており、この機を逃さずに区としても促進を図る必要があるものと考えます。

そこで伺いますが、定員を超えている学童クラブの定員拡充はもとより、ゆとりのある学童保育を実践するため、学童クラブを運営するスペース確保は喫緊の課題です。区は、今後どのようにスペース確保に取り組むおつもりか、お考えをお聞かせください。

また、隣の文京区では、新宿区のように定員以上の児童登録を認めていないことから、学童保育における待機児童が発生しており、その解消に苦慮しているとのことです。学童保育を行なう育成室を増やすも登録増加に追い付かず、そうした状況を改善するための応急手当として、文京区では待機児童となった小学生を、定員に余裕のある学区外の学童を利用できるようにするため、小学校と学童間をタクシーで送迎するサービスを始めました。担当者の方は「学童保育を行なう育成室を増やしていくことが第一で、タクシーでの送迎がベストだとは考えていない。ただ、このサービスで子どもの居場所を確保する選択肢を増やせれば」と語られているそうです。

そこで伺います。定員を超えているところから、比較的余裕のあるところへの移送など、弥縫策ではありますが区も検討すべきではないでしょうか。例えば、オンデマンド交通の実証実験などとも絡めて実施することも可能と考えますがいかがでしょう。区のご見解をお聞かせください。

また、定員以上の児童登録を認めていない文京区と比べ、新宿区では定員を超えても登録を受け付けていることに、保護者の方々から「『利用が定員を超えたことはないから大丈夫』と区の担当は言っているが、定員の定義とはそういうものなのか?」と、定員と登録についての考え方に疑問の声が挙がっています。改めてお聞きしますが、定員と児童登録数について、区の考え方をご教示願います。

次に、子ども達を世話する職員の確保について伺います。

学童保育における子ども達を世話する職員は、業務範囲の広さに比べ、処遇が低いことなどが理由で人が集まらず、恒常的に人手不足に陥っている現場が多いとのこと。全国学童保育連絡協議会が週20時間以上働く職員を対象に行なった調査では、回答した約6割が年収200万円未満のいわゆる「ワーキングプア」だったと報告されており、同協議会は「学童保育の設備運営基準ができて10年になるが、職員は低賃金で不安定雇用に置かれ、なり手がいない。働き始めてもすぐに退職してしまい、これでは子どもの保育にも影響する。」と警鐘を鳴らしています。同様に、保護者の方々からは「職員が定着せず、信頼関係が深まらないので子どもが落ち着かない。」との声も聞かれます。

そこで伺いますが、学童保育における人材確保について、委託業者に任せるだけではなく、もっと区も積極的に関わるべきと考えますがいかがでしょうか。こうした点での課題解決にあたり、どのような取り組みが有効とお考えか、ご見解を伺います。

続いて、学童保育や子ども達の放課後の居場所づくりにおける多様な人材の活用について伺います。

子ども達の放課後の居場所づくりにおける千葉市の取り組みでは、「アフタースクール」と称して、地域で活動する様々な先生を招いて、数多くの体験プログラムが提供されています。この「アフタースクール」は、学童保育の児童のみならず、放課後子ども教室(新宿区でいう放課後子どもひろばやひろばプラス)の児童も受け入れて実施され、他自治体から注目を集めていると聞いています。

また、周りの環境によって子どもが得られる体験に格差が生じる、いわゆる「体験格差」という言葉が注目されており、「様々な体験を得る機会が多いほど学習意欲や課題解決能力が向上する」といった指摘もある中、こうした社会課題の解決に向けた取り組みも併せて考えていかなければなりません。

新宿区以外では、漫画家の先生やバレーボールの選手の方が教えに来ているような学童クラブもあるとのこと。そうした地域資源、人材活用をもっともっと広げていく必要があるものと考えますがいかがでしょうか。特色ある体験プログラムの提供などのため、幅広い人材活用への期待が高まる中、区はどのような見解をお持ちか、お聞かせください。

 

<本区の所有する不動産の登記について>

 本区の所有する不動産の登記について 不動産登記法第47条第1項は「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一ヶ月以内に、表題登記を申請しなければならない」としています。 

しかしながら、地方自治体の所有する不動産の中には、所有権保存登記はもとより、表示の登記もされていないものが相当数存在しているようです。

本区内にも道路内の区有地などであるにもかかわらず登記がなされていない無番地の土地が多く存在しているようです。例えば無番地の土地に隣接する区民がなんらかの理由でその土地の所有者が誰なのかを調査するために法務局に出向いたとしても、ここでの調査は出来ません。

無番地に隣接する区民の取引の安全を担保するためにも、無番地となっている区有地を登記することが必要不可欠です。

また、区所有の有形固定資産の可視化や災害対策、さらに区有財産の有効活用をするためにも、登記されていない土地の位置・形状・面積を確定し、明確化することが必要であると考えます。

能登半島地震では、住宅や店舗などの建物約4万8千棟が全半壊し、石川県はそのうち約2万2千棟を公費による解体の対象としているそうですが、この解体は、自治体が所有者に変わり被災した建物を解体・撤去する制度です。解体が進まない原因は人手不足ということもありますが、公費で解体をする際には、建物の所有者を確認する必要があり、その多くの建物で相続登記がされないままとなっていて、その確認が出来ないことが公費による解体が進んでいない原因の一つだということです。

4月1日から相続登記の義務化がスタートしました。この義務化は、所有者が亡くなったのに相続登記がされないことによって、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境の悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずることなどが社会問題となったことがきっかけでしたが、国民に相続登記の義務を課す以上、地方自治体がそれをしていないということは区民感情からして不公平であり、率先して行うべきだと思います。

以下質問いたします。

一点目に、区所有の不動産登記の現状についてお聞かせ下さい。

二点目に、区所有の不動産を登記していない理由はどのようなことであるのかお聞かせ下さい。

三点目に、首都直下地震をはじめとする大規模地震の発生が懸念される昨今、先に述べた能登半島地震で解体が進まないなど、未登記の状態が復旧・復興を妨げてしまう可能性があることから、速やかに区所有の不動産の登記をしなければならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか?

 

(まとめ)

学童クラブなど、放課後の居場所問題について考える時は、子どもの願いと育ちを真ん中におく必要があります。子ども達にとって「居させられる場所」にならないように配慮し、子どもが主役の「居たくなる場所」にしなければなりません。そうしたことをしっかりと考えた上で、学童保育や放課後の居場所づくりの取り組みをすすめていただくよう、強く要望して質問を終わります。

 

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