本日は、10時から本会議が開かれ、代表質問が行われました。
私は、3番手の登壇となり、15時過ぎに質問に立ちました。
以下、前文も含む、全文を掲載します。
立憲民主党・無所属クラブの小野裕次郎です。私たちの会派は1月1日付けで、立憲民主党・無所属クラブに名称が変更となりました。分断と排除の政治が行われ、この国の立憲主義が危機にさらされています。誰もが自分らしく生きられる社会を目指し、日常の暮らしや現場のリアルな声に根ざした、ボトムアップの政治を実現するため、私たちは全力で活動して参ります。それでは、改めて決意を述べさせていただいた上で、立憲民主党・無所属クラブとして、初めての質問に入らせていただきます。順次質問いたしますので、どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。
まず、「平成30年度予算(案)について」お伺いします。
吉住区長は15日の基本方針説明の中で現在の経済状況を「景気回復局面は、高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さとなっており、デフレ脱却の展望も見えてきたといわれている」と述べられました。基本方針説明の冒頭での言葉でしたが、私には国民ひとり一人が景気回復を実感している状況とはとても思えません。特に高齢者や若いお子さんをお持ちの世帯などは、厳しい生活をされている方がまだまだ多くいらっしゃるのが現状ではないでしょうか。区長は新宿区民の生活状況をどのようにとらえていらっしゃるのか、まずお聞きします。
平成30年度予算(案)は「次の10年を展望する新総合計画の達成に向け、新たな一歩を踏み出す第一次実行計画を確実に推進する予算」として編成されました。そして、「積極的な施策の重点化」「社会経済情勢の変化に機動的かつ的確に対応できる行財政運営の確保」「行政評価や決算実績などに基づくPDCAサイクルによる事務事業の見直し、内部管理経緯の精査などによる徹底した経費削減」「特別区税をはじめより一層の歳入確保」を基本方針としています。
そこでお聞きします。
まず、「次の10年を展望する新総合計画の達成に向け、新たな一歩を踏み出す第一次実行計画を確実に推進する予算」との位置づけですが、29年度予算と比べて何が違うのか?どのような点が10年後を見据えた新たな第一歩の予算なのか?区民に届くよう分かりやすくお答えくだい。
続いて基本方針について伺います。
「積極的な施策の重点化」は現在の社会状況や区民ニーズに合わせて柔軟に対応しスピード感を持って施策を展開していくという意味だと思いますが、区長は新宿区の状況をどのように分析し、30年度予算(案)ではどのような施策に重点を置こうとお考えなのかお答え下さい。
次に、「行政評価や決算実績などに基づくPDCAサイクルによる事務事業の見直し、内部管理経緯の精査などによる徹底した経費削減」について、お聞きします。30年度予算(案)では事務事業の見直しのため、原則として2年間連続して執行率が95%以下、不用額200万円以上の事業について、執行率に応じて、削減率を設定し、経費の削減を行うことを基準としています。もちろんこのことは限られた財政のなかで、区政運営を行うため非常に重要なことですが、基準に照らし合わせ機械的に削減しているわけではないと思います。今回の事務事業の見直しでは不用額等精査で4億1500万円の経費削減を行っていますが、どのような事業が対象となったのか、例をあげていくつかお聞かせ下さい。
次に、「特別区税をはじめより一層の歳入確保」についてお聞きします。
新宿区の一般財源歳入の約30%を占めるのが特別区税です。予算案ではその額を平成30年度は前年比4.2%(19億円)増の465億円と見込んでいますが、その要因を「納税義務者数の増加に伴って」としています。納税者人口の推移と収入率を予測しての判断だと思いますが30年度は収入率の見込みを示す収入歩合についてはどのようにお考えかお聞かせください。また、徴収率向上のために、なにか取り組まれることがあればお聞かせください。
さらには、区長は基本方針説明の中で「税外収入のさらなる確保を図る」としていますが、どのような方法での税外収入の確保を図っていくのか具体的にお聞かせ下さい。
次に歳入に影響を与える「ふるさと納税」、「地方消費税交付金」、「法人住民税の一部国税化」について伺います。
ふるさと納税は、個人住民税の寄附金税制が拡充されたものであり、地方自治体に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、個人住民税所得割の概ね2割を上限とする金額が、所得税と合わせて控除される制度です。平成27年4月1日からは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」がはじまり、「ふるさと納税」が容易になった反面、新宿区の歳入に大きな影響を与えています。30年度予算(案)では「ふるさと納税」が当区にどの程度の影響が出るとお考えかお聞かせ下さい。また、現時点での「ふるさと納税」に対する区長のご見解を伺います。
また、地方消費税交付金は前年度より16億円の減額となっています。特別区税の増額見込みの19億円とほぼ同額であり、大きく区財政を圧迫しています。清算基準の見直し等が原因という事ですが、これまでの経緯と新宿区としてどのようにお考えかをお答え下さい。
最後にお聞きします。
2月16日、特別区長会において、「ふるさと納税」、「地方消費税交付金」、「法人住民税の一部国税化」について、共同声明を出したと聞いています。その内容と主旨はどういうものなのか?さらには、今後、国に対してどのように働きかけをしていくのか、区長のお考えをお聞かせ下さい。
次に、「区長の政治姿勢について」お伺いします。
今年は、吉住区政4年間の任期の最終年であり、秋には区長選挙が行われます。今後、4年間の吉住区政に対する評価や今後の新宿区政の在り方に関する議論が活発になると予想されます。私どもの会派でも、今定例会中の予算特別委員会や第2回定例会以降の質疑等を通じ、様々なテーマに関して吉住区長の考えをお聞きしてまいりたいと思いますが、ここでは、この間の新宿区内で行われた選挙に対する吉住区長の姿勢について質問します。
吉住区長が新宿区長に就任されて以来、新宿区においては、①平成27年4月の新宿区議会議員選挙、②平成28年7月の参議院議員選挙、③同月の東京都知事選挙及び東京都議会議員補欠選挙、④平成29年7月の東京都議会議員選挙、並びに、⑤平成29年10月の衆議院議員選挙、が行われてきました。
これらのいくつかの選挙において、吉住区長は、特定の政党の候補につき応援を行っています。候補者を応援する集会において、支援を呼び掛けたり、選挙カーに同乗して投票を呼び掛けるといったことも行われています。
区長は特別職の地方公務員であり、政治的行為を制限される立場ではないので、公務と政治活動の区別がなされている限り、それ自体は合法・違法という問題ではなく、極端な事例を除き、適当・不適当という問題も生じるものではありません。
ただし、「新宿区長」という役職が新宿区の行政を代表するものであることから、「新宿区長」という肩書とともに紹介され又は自己紹介する人が、特定の選挙において、特定の候補者に対する投票を行い又は行わないよう呼びかける場合、その趣旨、特に新宿区政とのかかわりについて関心を持たれることは当然のことと思われます。
まず、新宿区議会議員選挙において、特定の候補者を応援する行為は、区長が応援する候補者が当選することにより、他の候補者が当選する場合よりも、新宿区政が吉住区長の考える方向で前進するとの考えから行っているのでしょうか。あるいは、単に個人的な人間関係又は政治信条によるものでしょうか。その趣旨についてお聞かせください。
また、都政選挙及び国政選挙において、特定の候補者を応援する行為は、区長が応援する候補者が当選することにより、他の候補者が当選する場合よりも、東京都政ないし国政が吉住区政の下での新宿区にとって良い方向に進むとの考えから行っているのでしょうか。あるいは、単に個人的な人間関係又は政治信条によるものでしょうか。その趣旨についてお聞かせください。また、東京都政ないし国政が新宿区にとって良い方向に進むとの考えによるものである場合、具体的にどういった点で良くなるとの判断でしょうか。
次に、区長によるインターネット上での情報発信についてお尋ねします。
吉住区長は、新宿区のウェブサイトによる区長としての公式の情報発信の他に、「新宿区長 吉住健一 公式ホームページ」というウェブサイトを持ち、さらにフェイスブック等のSNSのアカウントからも情報発信を行っています。
このうちのフェイスブックアカウントについては、区長の個人ウェブサイト上では「新宿区長、ほぼ毎日更新中。」とのキャッチコピーとともにバナーリンクが設定されており、アカウントの自己紹介の欄には「新宿区役所勤務、元東京都議、元新宿区議」から始まる区長の経歴が記載されており、また、投稿内容の多くが区長としての活動報告や新宿区の施策やイベントの紹介となっています。
また、フェイスブックの投稿は、「友達」として登録した人のみ閲覧できるものと、それ以外の人でも閲覧できるものがあり、アカウント保有者は閲覧できる人の範囲を選択できますが、区長のアカウントでの投稿は、フェイスブック利用者であれば誰でも閲覧できる設定となっています。
この結果、多くの新宿区民にとって、区長の活動や区の施策やイベント等に関して情報を得ることができる大変有益なアカウントです。新宿区にとっても、行政の型にはまらない、分かりやすい情報発信の効果があるものと思われます。
その区長のフェイスブックアカウントにおいて、昨年の衆議院議員選挙期間中である10月16日、このような文章が投稿されました。現在ではこの投稿は削除されているようですが、掲載されていた文章をそのまま読み上げます。
「さすが、某報道型バラエティ番組!自民党・公明党連立反対!希望の党潰し!立憲民主党推しを露骨に放映しています。
今一度、思い出していただきたいのは、5年前までの最低な政権運営をしていた内閣を組織していたのは、枝野幸男、赤松広隆、海江田万里等です。
党名を変えたり、政党を変えれば人の能力や人格が変わるわけではありません。自らの経験と判断力により、何処の党や候補者を選ぼうが自己責任ですが、そもそものことを思い起こして、信ずるべき候補者や政党を選びましょう。」
そこで、この投稿内容について、いくつかお尋ねします。
まず、投稿の第一文では、あるテレビ番組の内容が特定の政党を応援し、他の政党を不利に取り扱う偏った内容であると批判されているようですが、具体的にどのような内容の番組であったのか、またそのどの部分について批判されるような偏りがあると感じられたか、お聞かせください。
また、第二文では、枝野幸男氏、赤松広隆氏及び海江田万里氏により組織されていた内閣が最低の政権運営をしていたと述べられていますが、これは具体的にどの内閣のことを指し、その内閣の政権運営のどの部分を指して「最低」と評価されているのか、お聞かせください。
また、第三文では、先ほどの第二文を受けて、党名を変えたり、政党を変えれば人の能力や人格が変わるわけではないとの意見が述べられていることから、枝野幸男氏、赤松広隆氏及び海江田万里氏の能力や人格についての意見であることが読み取れますが、どのような能力や人格であると評価されているのか、その趣旨をお聞かせください。
また、第四文では、「そもそものことを思い起こして、信ずるべき候補者や政党を選びましょう。」と締めくくっています。これは、第三文を受けた文であることから、枝野幸男氏、赤松広隆氏及び海江田万里氏や、その所属政党に対する投票に関する意見であると読み取れます。これらの候補者や政党に対してどのような投票行動をとることが、「そもそものことを思い起こした」選択であるとお考えか、その趣旨をお聞かせください。
なお、流石に地域で選挙運動に関与している地方議員を気遣ったのでしょうか。一度締めくくった後に、注意書きとしてこのような文章も追加されています。
「地方議員は国会議員が勝手に党を作ったり、合併したり、解党したりするので別ものです!ある意味被害者かなと感じています。」
この一文の趣旨をお聞かせください。
また、区長の活動や区の施策やイベント等について情報発信が行われているインターネット媒体において、選挙に関してこのような投稿を行って情報発信すること自体について、吉住区長はどのようにお考えかお聞かせください。
私どもの会派は、区長の思想信条やものの見方に関し、その内容の是非を問いたいとは考えておりません。私どもの会派は、数度の名称変更を経てまいりましたが、今日に至るまで、執行部の施策の内容そのものを検討の対象として、是々非々の姿勢で区議会での議論に望んでまいりました。この姿勢は、今後も変わるものではありません。
しかし、同時に、今年区長選挙が行われることから、区長の政治姿勢について確認させていただきたいと考え、以上8項目の質問をさせていただきました。
区長も区議会も、区政全体の発展と区民全体の福祉向上のために仕事をしていることから、様々な区民の立場を考慮して行動し、発信することが大切です。特に区長の場合、特定の区民ではなく、区民全体を代表する行政の長としての職責の性格上、中立性という点で日頃大変注意を払ってこられたものと思います。
以上を踏まえ、最後にお尋ねします。
今後、新宿区内で行われる区長選挙を除く選挙について、吉住区長は、どのように関わり、どのような情報発信を行うおつもりか、お聞かせください。
次に、「働き方改革について」お伺いします。
現在、国や都で声高に働き方改革が叫ばれています。「労働力の主力となる生産年齢人口(15~64歳)が総人口を上回るペースで減少していること」から、このままでは、国全体の生産力低下・国力の低下は避けられないとして、国は本格的に「働き方改革」に乗り出しました。「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。」と国は謳っていますが、「現場との温度差が大きい」と各種メディアでは報じられています。
労働力不足を解消するために、「働き手を増やす」「出生率の上昇」「労働生産性の向上」に取り組むというのが「働き方改革」の概要ですが、これらを実現するためには3つの課題があります。それは、「長時間労働の解消」、「非正規と正社員の格差是正」、「高齢者の就労促進による労働人口不足解消」が挙げられます。
まず、長時間労働については、2013年に国連から「多くの労働者が長時間労働に従事している」「過労死や精神的なハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念する」といった内容の是正勧告がされており、国際的にみても日本の長時間労働は深刻で、働き盛りの30~40代の長時間労働の割合が特に多い状態です。また、長時間労働の問題は「出生率」にも大きく影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なることなどが大きな理由とされており、女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏み切れなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながると有識者から指摘されています。国は、「法改正による時間外労働の上限規制の導入」や「勤務時間インターバル制度導入に向けた環境整備」「健康で働きやすい職場環境の整備」など、いくつかの改善策が示され、長時間労働の解消を図っていく方針です。
また、非正規で働く方は労働者全体の約4割を占めており、この層の待遇・働き方を改善するのに、待ったなしの状況にきており、非正規と正社員の格差是正が急務であることは国も認めています。賃金のみならず、福利厚生・教育なども含めた「同一労働・同一待遇」がなされ、将来的には非正規という枠組み自体をなくし、ライフステージにあわせた働き方を選べるようにすることが目標とのこと。
そして、高齢者の就労促進では、「働きたい」と考えている高齢者に就労環境を整えていき、65歳以降の継続雇用延長や、65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援が検討されており、企業における再就職受入支援や高齢者の就労マッチング支援の強化なども含まれています。具体的には、すべてのハローワークで「エイジレスサポート」を実施することや専門窓口を増設することなどが予定されています。また、年齢に関わりなく、「職務に基づく公正な評価」により働ける企業へのマッチング支援やエイジレス企業へのキャリアチェンジ希望者に対する支援も「エイジレス社会実現プログラム」により、図られていくとのこと。
こうした働き方改革は、大手企業だけでなく、全企業の大半を占める中小企業にもその取り組みが求められることは言うまでもありません。今後は、そうした中小企業へのきめ細やかな対応が、区に求められることも考えられます。
そこでお聞きしますが、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の実践などを区内事業者へ啓発していくにあたり、どのように進めていくおつもりなのか。区のお考えをお伺いします。
次に、昨年試行実施された「快適通勤ムーブメント」及び「ゆう活」についてお聞きします。
これは、東京都における、快適に交通機関を利用できる都市の実現に向けた「快適通勤ムーブメント」の取り組み、並びに国における、働き方を含めた生活スタイル変革によるワーク・ライフ・バランスの実現に向けた「ゆう活」の新宿区版トライアルとして、希望する一部の職員が早出・早帰りを行いました。実施から半年以上が経ち、検証も進んでいるものと思いますのでお伺いします。
都知事は「通勤のストレスから解放される」と鼻息荒く申され、今後正式な実施を促していくと会見でおっしゃられていましたが、区では試行実施して、いかような効果があったとお考えなのでしょうか。早くに出勤したものの業務がなければ意味はなく、ただ早く来て、早く帰る人になってしまいます。また、ただのストレスからの解放だけではなく、子育てや介護をしている職員が、早く帰れることにより、保育施設への子どものお迎えやその後のコミュニケーション時間の確保、デイサービスなどの介護施設から戻る親の引き取りなど、こうした制度を有効に活用してもらえるようであれば、一石二鳥です。「上から制度が下りてきたから、とりあえずやっておく」というようなことにならないよう、今のうちから検証し、実効性のある活用方法を検討することも必要なのではないでしょうか。試行実施を受け、取り入れる意義や効果、課題点と今後の展望について、ご所見を伺います。
次に、会計年度任用職員制度についてお伺いします。昨年5月に、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律が可決成立し、自治体で働く臨時・非常勤等職員の大多数は、新たな一般職非常勤職員である「会計年度任用職員」に位置づけられることになります。
「会計年度任用職員」の給料または報酬の水準、手当支給、休暇制度については、常勤職員との均衡をはかることは基本であり、官製ワーキングプア解消に向け、前向きに取り組む責任が区には生じるものと考えます。こうした職員の待遇改善は、行政サービスの質の向上につながることは間違いなく、それはまさしく区民益に直結することになります。区は今後、雇用継続と正規職員との均衡を求める、これらの法改正の趣旨を踏まえた制度設計を進めることが必要となるわけですが、臨時・非常勤職員の勤務実態などの現状把握や制度導入までのスケジュールはどのようになっているのでしょうか。お伺いします。
また、臨時・非常勤職員の雇用安定や労働条件の改善に向けて、雇用年数の上限を設けているのであれば、雇用期間上限の制度を廃止すべきと考えますがいかがでしょうか。さらには、臨時・非常勤職員の経験や勤務実態を加味し、経験者採用枠の拡充をするなど、正規職員への転換を促進することも検討すべきと考えます。区のお考えをお聞かせ下さい。
次に「介護保険サービスについて」お伺いします。
介護保険サービスの公定価格となる介護報酬について、本年4月からのサービスごとの具体的な内容と料金が1月26日に決定しました。今回の改定では、介護費の膨張抑制に加え、高齢者の自立支援を促す仕掛けが随所に盛り込まれ、多くの人に住み慣れた自宅などで暮らし続けてもらえるようにする狙いもあるとのことです。
大きな特徴は、リハビリを強化・充実し、利用者の自立支援や重度化防止につながる取り組みに対して、重点的に報酬を手厚くしたことと成功報酬を新たに設けたことと言われています。
今回決まった具体的な内容では、デイサービスでは、「一人で着替えられたら10点、手助けが必要なら5点」などと点数化され、身体機能の回復を目指す訓練に取り組み、6カ月間で改善した利用者が悪化した利用者より多ければ報酬は加算されます。
また、ホームヘルプは、掃除や洗濯などの生活援助の基本料は引き下げられますが、利用者とヘルパーが一緒にやる場合は、自立支援につながるとして上がるのです。
特別養護老人ホームなどでは、排せつで介助が必要な人の「おむつ外し」を支援する取り組みが評価されることになりました。身体機能が改善したり、トイレなど身の回りの事が自分でできるようになれば、利用者の生活の質の向上につながることは間違いありません。
しかし、こうした自立支援を促す取り組みは、高齢者が望まないサービスの利用を無理強いされたり、機能改善が見込めなければサービスを受けられないなどのケースが発生することへの懸念があります。
「事業者が成功報酬目当てで、機能回復が不可能だったり、そもそも自立を望んでいなかったりする人にリハビリを強いることになりかねず、高齢者本人の思いが置き去りにされてしまう。」など現場や有識者からは心配の声があがっています。また、自治体福祉政策に詳しい鏡諭淑徳大教授は、「そもそも介護保険は身体機能が落ちても安心して暮らせるためにつくられたもので、自立の押しつけになれば理念に逆行する。このまま自立援助重視の介護を進めていくのか、議論していくことが必要だ。」と指摘しています。
そこでいくつか、お聞きします。
今回の改定で利用者が望まないサービスを事業者が強いたり、改善が見込めそうな軽度な人ばかりを選んだりするようなことがないように、区はどのような指導をしているのか、お伺いします。
次に、調理や掃除といった生活援助サービスについて伺います。
生活援助サービスの利用回数が平均を大きく上回る場合は自治体が設ける専門職らの会議で検証し、必要があれば改善を促すことになっていますが、こうしたサービスを多く利用される方は、ひとり暮らしや認知症の方々が多いとのデータがあります。
また、在宅高齢者の掃除や調理など、生活援助に携わるヘルパーさん達など、現場からは「訪問したら空のヤカンが火のついているコンロにかけてあったり、消費期限の過ぎた弁当をまさに食べようとしていたり、もしヘルパーがいなかったらと思うとゾッとする。一人暮らしは厳しいというより危ない。」「処方された薬を飲み忘れてもヘルパーがいれば気づく。生活援助は一人暮らしの高齢者を守るのには欠かせない。」「生活援助は生命援助だ。」といった声も挙がっています。
こうした状況の中、利用回数の制限などには、個々の事情に配慮したきめ細やかな対応が求められるものと考えますがいかがでしょうか。生活援助サービスのあり方について、区のお考えをお聞かせ下さい。
最後に、介護人材不足解消についてお聞きします。今回の介護報酬が全体としてプラス改定されるのは、待遇改善によって人出不足解消が喫緊の課題と考えられたからです。介護人材の育成や確保はどの自治体でも大きな課題とされています。区はこうした現状を踏まえ、どのような対策をお考えでしょうか。ご所見をお伺いします。