政府は、グローバル化を見据えた教育には「日本人としてのアイデンティティーを育むこと」が大切だとして、「愛国心」養成を盛り込むなど、方針を出している。
私には、押しつけの「愛国心」や煽られて生まれる「日本の誇り」とグローバル化がどうしても結びつかない。
海外との交流が一層増える中、大切なのは「自分たちを知ること」と、同時に「相手を知ること」ではないだろうか。
そうした中で育まれる「他者との関わりの中で自分をみる相対化」こそがグローバル化の鍵を握る。
価値観や生活が違う様々な人々と協働できる素養を育てるにはどうすればよいか。
劇作家の平田オリザさんの言葉を借りれば「わかりあえない者同士が、どうにかして共有できる部分を見つけ、少しずつでも広げていくこと」だと考える。
文化、民族、宗教、歴史観など、人にはそれぞれ相違点があるのが当たり前で、一方的な主張だけでは共感は得られない。
異なる民族であれ、文化であれ、共通点を見出し、お互いを認め、高め合う共生の道を育むことこそが真のグローバル化教育だと考える。