雇用環境が改善されず、子どもの貧困率が悪化している。
およそ6人に1人の子どもが貧困な家庭で育っているとのデータが示された。
貧困な家庭で育つことは、子どもに財政的につらい思いをさせるだけではない。
収入が少ないと子どもに教育を受けさせることが難しくなり、就職の可能性が制限されて、貧困に陥りやすくなる「貧困の連鎖」に繋がりかねない。
これを断ち切るには、金銭的な支援のみならず、保護者への仕事の紹介など包括的な支援により、子どもの育つ家庭環境を改善することが効果的だ。
特に経済的支援を要するのは、120万世帯を超える母子家庭で、1人で働きながら子育てをしなければならない母親が、安定した収入を得られる仕事に就けるような支援策が必要だ。
また、自治体の支援を調べる余裕や方法がなかったり、申請などに苦手意識のある保護者も多い中、自治体は申請に来るのを待つだけでなく、保健師などと協同して家庭を訪問する制度など作り、積極的に支援家庭の発見に努めるべきだ。
生活の苦しい家庭の小中学生に学用品や給食などの費用を自治体が援助する「就学援助」の対象者を減らす動きがあるが、「子どもの貧困対策法」の理念に逆行する。
子どもは生まれる家庭を選べないが、教育によって子どもの可能性を狭めるようなことがあってはならない。