判断力が落ちた認知症高齢者らの財産や権利を守る「成年後見人制度」の利用が伸び悩んでいる。
背景には、現状への理解不足があり、「家族が認知症高齢者の財産を管理して医療・介護サービスの契約を結べばいい」という考えが家族だけでなく、行政にも根強い。
しかし、それでは単身高齢者世帯の増加に対応することができない。
成年後見人制度は当初、ある程度財産を持っている高齢者の資産管理の制度と考えられていたが、最近では財産の有無を問わず高齢者や障がい者の生活を支える役割が大きくなった。
この観点から、制度を機能させるには、地域での取り組みは欠かすことはできない。
弁護士や司法書士、社会福祉士などが後見を受けるケースが増えているが、今後予想される需要の増加に備えるには専門職だけでは手が足りない。
親族に代わり区長が後見の申し立てをする「市区町村申し立て」
社会福祉協議会が引き受ける「法人後見」
研修を受けた市民が後見する「市民後見人」
など、それぞれある。
こうした方式を上手に活用し、体制を整える必要がある。
行政、NPO、町会や医師会などしっかり連携し、社会貢献の意識が高い市民の助力を得ながら、きめ細かい支援を実践したい。
地域の後見ニーズに応えていくには、関係者による総力を挙げた取り組みが必要だと考える。