2月25日に、本会議で登壇した、一般質問の全文を掲載します。
自治体にとって、少子化対策への取り組みは、とても重要な課題です。この国の社会保障制度やシステムを維持するためにも、最前線である区市町村が対策を講じねばならないということは、誰もがご承知のことかと思います。
2015年の厚生労働省の人口動態統計によると、新宿区の合計特殊出生率は、区部では最低の0.97となっています。単身者が多いなど、理由は様々考えられますが、本区の考え方として、少子化問題をどのようにとらえ、対策に取り組むのか、お伺いします。
人口動態統計によると、東京都の晩婚化、晩産化傾向は極めて顕著であり、そうした中、不妊症は、全夫婦の約10-15%で発生するといわれていて、その割合は、女性不妊症が30-40%、男性不妊症が50%程度、原因不明の機能性不妊症が10-20%となっています。また、不妊に悩みながら治療に行かない潜在的不妊の方々は、その3倍に上るとの指摘もされています。
2015年9月の読売新聞の記事によると、治療件数は10年前の3.6倍に増え、約24人に1人が体外受精で生まれた計算になっているとのことです。
不妊治療には、人工授精、体外受精、顕微授精などがあり、こうした特定不妊治療と呼ばれるものは、公的
医療保険の対象外であり、高額療養費の対象にもならず、高額な負担が強いられることとなります。
そこで、政府も「1億総活躍社会」の実現に向けた施策の一つとして、不妊治療の拡充に乗り出しました。今回の拡大では、対象や所得制限は変わりませんが、
不妊治療を始めやすくする狙いから、初回の治療に限って助成額の上限を現行の15万円から30万円に引き上げ、手厚くする措置をとります。また、無精子症などの男性が手術で精子を採取した場合には、1回につき15万円を上限に助成し、
体外受精のために手術を受けるたびに従来の助成に上乗せされ、計6回まで助成が出ます。
そうした動きがある中で、これまで実施されている東京都の助成制度では、26年度は23区で12万3819件の事業利用があり、うち新宿区では329件の利用がありました。
また、都の助成事業に加え、多くの区市町村で独自の不妊治療の自己負担軽減措置が図られています。例えば、お隣の港区では特定不妊治療に対し、1年につき30万円まで5年間助成され、26年度の利用実績では845件にものぼります。港区は、「所得制限なしだから」という見方もあるでしょう。
こうした社会のニーズが、各自治体の取り組みや報道などでも十分に認められている状況ですが、この新宿区では一切助成はありません。区は、「出生率は低いままでも構わない、区外で産まれた子育て世帯を呼び込むだけで十分だ」とお考えなのでしょうか。
合計特殊出生率を回復させ、少子化から立ち直ったフランスでは、補助は42歳まででストップされますが、人工授精が6回、体外受精が4回まで無料で行えるそうです。
「子どもを産みたいと望む全ての人が子どもを持てるような環境を整えること、どのような支援が少子化対策に必要なのか」は明白です。
平成23年の鈴木ひろみ議員の不妊治療助成についての質問では「必要性を検討する」との答弁でしたが、新宿区は、「これまでにどのような検討がなされてきたのか。」「今後独自の不妊治療助成を行なうつもりはあるのか。」「東京都の助成制度の枠を広げるなど自治体ならではの支援拡大の必要性について」など、区のお考えをお聞かせ下さい。
答弁は、改めて掲載しますが、一言でいえば、柔らかな言い方で「やりません」ということでした。
引き続き、支援を求めていきますが、時代の流れから、新宿区も取り組まざるを得なくなると考えています。
皆さんからの、応援の声にも期待します。